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夏の森

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  高度があると夏の森でもほとんど虫は気にせずに過ごせます。 だいたい1600mを超えると蚊もいませんし、ランプに群がる蛾も少なくなります。テントを張らずに気持ちよく眠れますし、汗もかかないので夕方温泉から帰って次の朝までさらりとしています。 歩きやすくするために笹刈り歯を付けた草刈り機で敷地内を払いました。 夏はもっと美味しい草が沢山ありますので鹿達は笹だけ残してしまい、結果として近隣が笹だらけになってしまいます。 何年も刈らずにいると、徐々に茎が太くなりナイロンカッター程度では刈れなくなるので、こうした専用の歯が必要になります。 逆に毎年6月9月くらいに刈り続けていますと、徐々に細く丈の低い笹となっていきます。地下茎植物ですので他の競合種が出ない限り根絶はないのですが。 都市公園の人造林と異なり、森の木は常に厳しい気候と他の植物と昆虫や苔類や茸類などと戦いながら生きています。 腕のいい庭師に守られるわけではなく、大多数の木は途中で食われ腐り自然に倒れて、頑健なものだけが巨木になります。 都市公園では本来ならとっくに寿命で倒れているはずの木が残っていて、これが朽ちて倒れるとニュースになるのですが、残っている方が異常ですし。 頭上にのしかかってきたら大怪我しそうな自然倒木はさすがに危険なのでチェーンソーが大活躍することになります。 危険な木はあらかた伐るのですが、湿気を含んでいて干してもあまり良い薪とはならないものも多く、これはさり気なく放置しておくと、様々な生き物のゆりかごになっていきます。 落ちている岩も苔類の培地になりますし、刈り取った笹もいつの間にか朽ちて土に還っています。 輪廻のなす景色は趣深いものがあります。

高原の森

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 クロスカブで走り回って見つけた野辺山の土地ですが。 1700mほどの高さでカラマツ・白樺・トウヒ・コメツガなどの混合林。 樹皮や足元の岩には苔類がびっしり覆っていて、見事な叢林です。 まず、足元の笹を刈って敷地内に道を付けるところから始めました。 地面が見えてきたら落枝や倒木に多彩な茸類が生えていて。 ナウシカの腐海に紛れ込んだみたいです。 タープだけ張ってフォルディングベッドで寝起きしながら笹を刈っていたのですが、真夜中にランプの明かりで光る目が見えます。 昼間たくさん見かけた鹿よりは低い位置で、これは熊かな?と身構えました。ライトで照らしても距離があるので姿は分かりませんが、こちらを伺いながら囲うように歩いている。高さは膝くらいか。 身を守る物といえば草刈り機ぐらいしかないので、1時間ほど息を詰めて睨み合いでした。 翌朝、土地に詳しい方に相談したら高さからたぶん狸でしょうとのこと。 人を恐れず近づいてくるそうです。 鹿は随分たくさんいます。 木を伐採すると大量の葉つきの枝が落ちますが、それを食べに真夜中にやってくる。早朝に起き上がると母鹿とバンビがこちらを見て、やがてヒョンコヒョンコと飛び跳ねながら森の中に消えていきます。 前半身、後ろ半身を交互に踊らせるのではなく、背中を地面に水平にジャンプするのでヒョンコヒョンコとしか形容のしようがない飛び方は深い草むらを移動するのには怪我をしにくいやり方なのでしょう。

クロスカブ移住

クロスカブで東京日帰り圏はかなり行き尽くしました。 鉄道自動車自転車いずれとも違う首都圏地図が記憶野に構成されたのですが、やはり八ヶ岳界隈は印象深くて。 特に清里から奥に登った野辺山高原の美しさは別格で、ここに住んでクロスカブで走り回りたい、という気持ちが強くなりました。 そのうち、ご縁があって土地を手に入れ、開墾して山荘を建てることとなりました。 根っからの自作好きなので掘っ立て小屋でも作ろうかと思いましたが、冬の氷結が厳しいため、保温や水回りはそれなりの手間はかかりそうです。 幸い、良い建築会社さんと繋がりが出来て、素人には難しい部分のみお願いして残りは自分で気長に建てることにしました。 6月からスタートしたのですが、まず建築書届からです。

クロスカブ

だいぶ慣れてきました。 近所で中型バイクで行っていたところは一通り行きましたが、それ以上に中型では行けなかったところに行けますね。駐車場のないラーメン屋さんとか、桜が咲いてるけど停められなくてパスしていたところとか。 もちろん高速は入れませんが、自転車とバイクの中間の不思議な乗り物で下道の選択肢が増えました。自宅から日帰り圏で面白い道は新鮮な発見です。 丹沢とか奥多摩とか登山でも自転車でも知らなかった領域が表情豊かで驚きました。 アウトドア系でも中間領域は昭和時代並に人混みがなくて快適です。

クロスカブ

 トネ・コーケンさんの スーパーカブ を熟読しているうちにカブ沼にいつの間にか引きずり込まれて気を失っている間にバイクショップに発注していて、各種工具と整備パーツが部屋に積み上げられていました。正気に返ったけど後悔はしていません。 スーパーカブがいいかハンターカブがいいかクロスカブがいいかは多少考えましたが、自分の生活圏と行動パターンで路地なのか険しい山道なのか隣町の美味しいラーメン屋が主で週末にちょっと砂利道行くのかで自ずと決まってきます。 ミニクーパーのインチ工具手入れはやってましたし、自転車は部品を買ってきて全部自分で作る人なので、整備マニュアルを読むのが楽しい日々。 クルマがかなり金食い虫を飼っておりますので、バイクはフナ釣りに徹しようかと。と思いつつ工具は面白いのでいつの間にやらかなりの数が(笑)

M44-7を鳴らせるアンプ

たぶん、現行の市販品には存在しないと思います。 SHURE社が公開している技術仕様は400〜500pFの47kΩで、出力は時代によって9mV〜11mVです。残念ながら市販品は400pFまでしかフォローしていませんが、聴感で調整した限りでは450pFでジャストでした。また、かなり高出力ですのでどうしても吐き出す電圧がプリの至適入力を超える傾向があります。ロードラインがずれてしまうのです。 樽型特性の補正は負荷入力だけではダメで、RIAAの定数を少し触る必要があるかもしれません。もちろん、そのままの特性を本来の味わい、としてもよいのですが、高域側のピークを少し抑え、低域側をわずかに持ち上げると滋味豊かな代物に化けます。元の声紋が「印象的」なのです。 C22の二重補正をいじってもいいですし、マランツ7のトーンコントロール回路(EQのRIAA特性をいじるのと原理的には一緒です)をいじってもいいでしょう。残念ながらマランツ7の11段のトーンコントロールでは数値がドンピシャではないので間を聴感で拾う必要があります。さすがに同時代の製品なので入力オーバーはないです。 イコライジングと針圧を丁寧に合わせると、濁りのないピアノとベースの胴の鳴音とシンバルやサックスの金属音と、どれも「印象的」な響きがでます。 そういうアンプがないために、地味な誤った評価しか受けられないのでしょう。自作される方は挑戦する値打ちがあると思います。本物のSHUREサウンドはやはり鮮烈です。

M44-7のバリエーション

SHURE社のホームページにも記述がないのであまり確実ではありませんが。 手持ちのM44-7で最初期型と思われるモデルは白色ボディ・白色針。いずれもシルバーのプレートが付いています。おそらく1960年台の製品でしょう。 中期型と思われるモデルは茶色ボディ。1970年台の製品でしょう。 後期型は黒のボディ。カモメマーク付きと無しがありますが、どちらも同じ音色なのでここから構造が変わったと思われます。 音色的には年代ごとに特徴が違います。 最初期の白色カモメは低音に独特の響き感があります。サックスやシンバルの鮮烈さはTYPEIII以上なのですが、この独特の響き感が背景にあるため、よりJAZZ的なコントラストが鮮烈になる傾向があります。JAZZの名盤が次々にリリースされた時代なので売れたのも納得です。 クラシックには合わない、というご意見もあるようですがドビュッシーだけは例外で。 曖昧模糊とした低音の中に時折煌めく曲の作りがこのカートリッジのキャラクターととても良く合います。ラヴェルも良いですね。ただ、交響曲に対する分解能や、弦楽器の艶描写などクラシックに対する万能性という点ではSPUの方がやはり圧倒的に格上です。 最初期型はメーカー公称の周波数帯域が20kHzまであって、17kHzの後期型とは仕様が少し違うのかも知れません。 後期型の黒色モデルはカモメマークのあるなしに関係なく、同じサウンドです。カモメマークの有無より針のコンディションの方が差異は大きく出ますので中古を探される際はその辺は注意されたら良いでしょう。JICOの針は個人的にはテイストを含めてとても良いと思います。後期型ですとオリジナルに拘る意味はあまりないでしょう。 典型的な樽型特性なのですが、中域の歌いっぷりが捌けた感じで特にボーカルがぐっと前に出てきます。同時代のロックの名盤をかけると、溢れるほどの力感があって、あの時代に引き戻されます。こちらはクラシックは無理だと感じます。JAZZはウッドベースの響きがやや物足りなく感じますがドラムはよく切れますね。 初期型はJAZZの時代。 後期型はロックの時代。 そう考えるとなるほどよく出来ているな、と感心します。 HIPHOPやDJプレイで人気が出たのは後期型の音色でしょうね。確かに、マジックで力強く描いたよ